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新型肺炎の早期終息と疫病退散を願い、恵比須流が”注連下ろし”の神事を執り行いました

本日より6月が始まりました。例年だと、本日から博多祇園山笠の準備期間が始まりとなります。長法被の着用が解禁となり雪駄の音と共に博多の熱気はがググっと上がるのですが、既報の通り2020年度の博多祇園山笠は新型肺炎拡散防止のため来年度に延期することが発表されました。

戦後以来の山笠のない夏。
それでも今年の”山笠がある時期”がやってきました。

午前6時半の櫛田神社。早朝のジョギング途中や出勤前の参拝をする方がいるぐらいで、山笠の空気はありません。
例年だと清道旗を立てるために6月には取り外される旗竿も、今年は立ったままです。

例年だと朝8時より棒洗いを行うため上川端通の男達がやってきている櫛田神社浜宮。ここにも人影がありません。
この時期は、フェンスの入り口には神事が行われるため駐車禁止の注意書きの立て札が掛けられるのですが、今年はその立て札もなく閉ざされており、前の道路にもコンテナが置かれており、舁き棒を持ってくるトラックのスペースはありません。この状況を見ると、今日は棒洗いはないのだな、と実感します。

上川端通のぜんざい広場もまだ休業中。
毎年山笠期間中に中洲流の前掛けが掛けられる東長寺のお地蔵さんも、本日13時の段階ではまだ前掛けが確認できませんでした。

山笠延期と決定しているの、当然と言えば当然ではありますが山笠の空気感がまったくない博多の街。
その中、本年度の一番山笠を務める予定だった恵比須流が、山笠発祥の起源でもある疫病退散の観点から新型肺炎の早期終息を願い、例年通り本日6月1日(月)に注連下ろしの神事を執り行いました。

午前7時前より当番町の男達を中心に、山小屋が立つ予定だった恵比須神社横の駐車場に神棚を準備します。

例年だと、恵比須流の全町の参加者が100名近く参加し、椅子も多く並べられるこの注連下ろし神事も、まだまだ予断を許さぬこの状況下であるため、役員6名と当番町の男達数名のみが参加。準備された椅子も6脚のみで、距離を取って配置されました。

午前8時、注連下ろしの神事が始まりました。

櫛田神社の神職が、修祓で神棚と参加者を清め祓います。

修祓で祓い清めた後、祝詞の奏上が行われます。

祝詞の中では「この悪しき流行りの疫病により、山笠が行えなくなり、皆悔しい思いをしているので、疫病退散を祈願し平安を与えんことを」と現在の新型肺炎に対する疫病退散を強く願う内容が加えられおり、奏上が行われました。

そして清め祓いの儀が行われ、町の入り口となる辻や注連縄や笹竹に向けて、修祓が振るわれ切幣がまかれました。

最後に玉串奉奠が行われます。

恵比須流の瀬戸総務は、手を叩いた後、目を閉じ時間を掛けてじっと願いを捧げます。目を閉じそして祈ったその時間の長さがとても印象的でした。

博多祇園山笠振興会の武田会長も、玉串を捧げ疫病退散を願います。
玉串奉奠を終え、本年度の注連下ろしの神事は無事終了しました。

例年であれば、神事後のお神酒の振る舞いも参加者全員に行われるのですが、この状況下なので総務一人だけ。記念撮影も最少人数で行われました。

神事後は、清め払われた注連縄を笹竹に張った「竹串御弊」を辻に張ります。例年より神事の参加者を減らしているため、作業内容が多くなり大変な作業です。

笹竹に御幣を下げた注連縄を掛け、その笹竹を門状に辻に掛け上げます。

注連下ろしは行われても、今年は山笠は行われません。
もちろん、まだまだ油断できない状況下です。
しかし、それでも、疫病退散・無病息災を願うあのいつもの博多の時間へ戻るための一歩である、と感じた時間でした。