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8年後のために・・・東流が「山笠舁棒安全祈願祭」を行いました

1月28日の総会で「今年の山笠が始まりました」と書きましたが、東流は8年後の山笠を見据えて動き出しました。本日2月10日(日)10時半、東流は朝倉市の杷木久喜宮にて、8年後に新調する山笠の舁き棒の安全を祈る神事「東流山笠舁棒安全祈願祭」を執り行いました。
今東流が使用している舁き棒は平成14年(2002年)から使っており、次の一番山笠を迎える令和14年(2032年)に新調される予定となっています。

神事が行われるのは、朝倉市杷木久喜宮にある杉岡製材所。社寺や文化財をも手掛ける製材所で、宇佐神宮八幡鳥居、宗像大社の第二宮・第三宮の修復工事などにもこちらの木材が使われています。

東流の男たちは、午前十時に製材所に集まり、準備を開始。博多から持ってきたバンコ(長椅子)を運び入れて行きます。

神事を行うのは、もちろん櫛田神社の神職。神社から神職を招き、山笠期間の同じように神棚を組んで神事の準備を行います。

今回の神事は特別な神事のため、詠み挙げられる祝詞も特別な内容。なにせ舁き棒を新調するのは数十年に一回。そのため「一からオリジナルで書きました」(神職談)とのこと。神職には気合と緊張が入り混じります。

敷地内には、大量に木材が並びますが、神棚の前に積まれているのは7メートル以上もある13本の杉の木の丸太。

この木材は東流前総務の山口浩志さんが提供したもので、半月ほど前に福岡県京都(みやこ)郡みやこ町の山中から切り出したばかりです。

もちろんこの丸太をそのまま使う訳ではありません。博多祇園山笠の舁き棒に大事なのは「まっすぐ」で「丈夫」な事。1トン以上の重さを支えつつ、激しい動きにも耐え、衝撃を分散させる必要があるので、木材には「まっすぐ」で「真円(しんえん:ゆがみがなく完全な円であること)」であることが求められ、真円であることは、すなわち年輪が均等で真ん中にある必要があります。年輪は日がある方向に偏っていくため、木材を提供した山口さんは日が均等に当たる山の北側の杉の木の中から、まっすぐな木を13本厳選しここに運び入れました。
この13本は、皮をはいで数年寝かせて乾燥させ、最終的に反らずにひびの入らない丈夫な丸太を6本選び出し、最もまっすぐな部分だけを切り出して、そこから角々を削りとって研磨して、あの舁き棒を作り上げていく・・・とのことです。

午前10時半、少々風が強いも快晴の下、「山笠舁棒安全祈願祭」が始まりました。

山笠期間と同様、神棚と参加者を修祓でお祓いします

そして、祝詞の奏上が行われます。祝詞の中では、神に長く使用した舁き棒を新調する事を伝え、今後も安全で無事奉納できるよう祈りが捧げられました。

祝詞が挙げられたあと、13本の丸太と、この丸太を長きに渡って寝かせることになるこの場の四隅を、大幣と塩で祓い清めました。

最後に相談役、総務、杉岡製材所の杉岡氏、その他関係者が玉串を奉納し、舁き棒の安全無事を祈願。祈願祭は無事終了しました。

神事後、神棚に祀った御神酒と塩が丸太の木口と胴体に振りかけられ、流の男達の手によって無事立派な舁き棒になるよう祈願が駆けられました。

最後に神事に参加した男達と、それを見守った男達みんなで記念撮影。「そこ、笑顔が足りないよ!」とカメラマンの注文に笑いが起き、和やかな雰囲気に包まれました。

次にこの丸太と出会うのは8年後。その時が本当に楽しみです。