明後日は7月1日。桟敷席工事も昨日終了したようで、清道から工事資材がすべてなくなりました。鳥居の下には、山笠行事の日程が書かれた看板も立ち、山笠開幕まで待ったなしとなりました。
川端商店街には祝いの幕が掛けられ、祭りの空間に変わっています。
すでに飾り付けが終わっている川端中央街の飾り山笠。飾り山笠は7月1日より公開という決まりであるため、飾り山笠の前後には幕が張られ、全体像が撮影できないようになっています。この幕が取り外された時が、山笠のスタートです。
その反対側に位置する八番山笠上川端通の飾り山笠は、本日6月29日(木)が飾り付けの日。早朝から人形師や山大工、流の男たちが集まり、飾り付けの準備を行いました。
今年の標題は、表が「慶 歌舞伎十八番押戻(かぶきじゅうはちばんおしもどし)」、見送りは「外郎売(ういろううり)」。どちらも歌舞伎十八番に数えられる有名な演目で、製作は田中勇人形師が担当しています。歌舞伎が好きな田中人形師が腕によりをかけて作った飾りが、矢切に上げられてい・・・く前に、この主人公の人形が大きくて重いため、大人数で人形を支えながら一旦棒の上まで引き上げられました。
矢切の上に引き上げられた大きな人形の背面に、跳木(はねぎ)と呼ばれる人形の支柱を取り付け、矢切から突き出す形で人形が山笠に取り付けられます。人形師がその配置具合を角度や距離を変えて確認していきます。
人形師は自分が持つイメージに合わせて納得のいく飾り付けの指示を出していきます。時には「もうちょっと傾(かぶ)いてもらえますか?」と細かい指示。本当にちょっと傾けるだけなのですが、人形師の目にはその角度こそが”正解”であり、納得のいく見え方になるまで微修正が続けられます。
一番大きな人形が上がると、他の人形や飾りの番です。パーツや針金がくくりつけられた後、山笠の上にあげられていきます。先につけた人形が大きいため、山大工はハーネスの場所を替えながら山笠の横側から運び上げ設置します。
八番山は”走る飾り山笠”であるため、電線の下をくぐらせるために、二段階に高さが伸縮する”カラクリ”が仕込まれており、その一段階目の部分に引き上げた飾りを取り付けます。内部に格納される形で伸縮するため、飾りの幅が大変厳しく、山大工からの引っかかる・引っかからないという報告をもとに、飾り付けプランを変えていきます。
見送りの「外郎売」は、小田原の「透頂香(とうちんこう)」(=通称「外郎」)という薬を売る商売人が出るため、背中に大きな薬箱が取り付けられます。人形師は、跳木を取り付ける穴の大きさに箱に穴をあけ、ビスで留めて行きました。
この朝は、曇りで折からの微妙な天気から大変蒸した環境での飾り付け作業に。大きな扇風機を掛けながらの作業となりました。飾り付けを行う人たちはシャツを汗で濡らし額にうかぶ汗を拭きながら、飾り付け作業を行いました。
明後日は山笠開幕ですが、とにかく今年は雨が多い山笠期間になりそうです。特に7月1日は雷雨を伴った悪天候と予想されており、天気の動向が注目されています。