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博多人形師の有志が「ミニ山笠」を制作しました

博多人形師の有志が集まり、「ミニ山笠」を制作しました。そのサイズは実際の飾り山の1/8サイズですが、人形師や山大工が実際の飾り山を作るように丁寧に作り上げました。 ミニ山笠は2012年にも制作され、その飾り山は現在ははかた伝統工芸館に展示されています。今回は4年ぶりの新作のミニ山笠。どのようなミニ山笠ができあがるのか楽しみです。

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今回は発案者の田中勇人形師を中心に、光石人形師・小副川人形師・野田人形師がミニ山笠を制作。人形師の方々は、全員飾り山の飾りの制作に携わっている人ばかりです。自分たちの技術を使ってミニ山笠を作りたいという話から、若手4人のチームを作り、上川端通や中洲流などの山大工を務めている稲桝さんに相談。今回の飾り付けまでに、何度もミーティングを重ねて、ミニ山笠のイメージを固めてきました。
ミニ山笠の人形は、各人形師が分担をして制作したのですが、昼間は自分たちの仕事や山笠の飾り制作を進め、ミニ山笠の飾り制作は夜に行うという、同時進行のスケジュールで大変だったとか。

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人形師だけでなく山大工の方もミニ山笠に使用する山笠台の準備を進めます。暴風に見舞われた博多どんたく初日の5月3日、下から響くどんたく隊の声を聞きながら、栗原さんが山笠台と矢切の制作を進めていました。高さはおよそ1.5m程。アップで撮影したたら、本物の山笠台と見間違えるような出来映えです。

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栗原さんも仕事の後やお休みの日にミニ山笠台制作を行ってきたとの事。この日はミニ山笠がディスプレイケースの底板からずれないように、固定する作業を行っていました。

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そして、5月21日、完成した山笠台と山笠人形を組み合わせる『飾り付け』が行われました。今回は飾り山1つと、表・見送りの飾りを横に並べたディスプレイを1つ、合計2つの飾り山を2日で作成する事になります。
朝9時から人形師が集まり、持ち寄った飾りを並べて飾り付けの準備。できあがったパーツは、1/8スケールの飾りとはいえ、本格的な物。特に人形は飾り山とは違い、博多人形と同じ素材と手法で作っているため、その出来映えがひと味違います。

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ミニ山笠の横には、山笠の下絵が。表の標題は歌舞伎がモチーフの「天神記車引(てんじんきくるまびき)」、見送りの標題は福福しい「瑞祥七福神(ずいしょうしちふくじん)」です。

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まずは実物の飾り山と同じように、天神額から飾り付け。今回はケースの高さもあるので、慎重に位置を確認して取り付けます。

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次に人形を素山(山笠の骨組み)に飾り付けます。実際の飾り山と同じように、背中に跳木(人形の背中に差す飾り付け用の棒)を差して針金やホットボンドで飾り付けていきます。その中で、跳木を差したら人形の重さでしなってしまったり、館の位置が下絵通りの位置にならないため一旦人形を外してみたり・・・と、ミニ山笠ならではのいろんなハプニングも続出。人形師は試行錯誤しながら飾り付け作業を進めていきます。

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表の人形の飾り付けが終わると、次は見送りの人形の飾り付け。この宝船もすべて博多人形と同じ手法で作られた「土」が素材。薄手に作られているのがよく分かります。

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大黒天の人形が他の人形よりも一回り大きく、「でかっ!」「山笠、崩れない?」とみんなの笑いが辺りを包みます。

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午後には細かい飾りを付けていく作業に入り、作業は一気にスピードが増しました。午後3時には飾り山の雰囲気が出始めています。

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夕方遅くまで人形師達は、細かい飾り付け作業を行いました。

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翌日5月22日(日)も引き続き、飾り付けの作業。この日は、両面飾りの飾り付けがメインの作業となります。

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飾りも段差を付けて遠近感を付けたり、曲線に合わせて飾りを付けて動きを出したりと、人形師達の経験や技術が生かされています。

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もちろん標題板もミニサイズ。文字の当たりをつけて、慎重に標題を書いていきます。

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「昨日の経験があるから、今日は早くできてるかも」というコメント通り、細かい飾り付けもほぼ完了。できあがった飾りを山笠台に並べると、その出来映えに「おおーっ!」「これは面白い!」という感嘆の声が上がりました。昔の山笠の記録に表と見送りを並べて描かれた絵があるのですが、立体となった物を見るのは初めてかもしれません。

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しかし、感動に浸るまもなく人形師達は最後の詰めの飾り付けへ。飾り付けの詰めは、夜遅くまで続けられました。

今回制作されたミニ山笠は場所はまだ未定ですが、近日公開の予定とのことです。公開日時が決まり次第、山笠ナビニュースでお知らせいたします。
人形師と山大工ががっぷり四つで取り組んだ職人達のの技術がたっぷり詰まったミニ山笠、公開時にはぜひご覧ください。