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取材レポート:博多人形商工業組合青年部 『ミニ山笠』の飾り付け

6月17日、日曜日。飾り山の山小屋が建ち並び飾り付けを待つ、そんな福岡の町ですが、美野島商店街にて『ミニ山笠の飾り付けが行われる』との情報を頂いたので、その現場におじゃまさせて頂きました。

場所は福岡市博多区美野島にある「ゆらりん」さん。
ゆらりんさんは、美野島のまちづくりのために開設したスペースで、お食事の店・コミュニティ事業・まちづくり相談事を行っています。博多祇園山笠の山大工でもありこのスペースを運営している「NPO博多まちづくり」の理事長でもある稲舛積さんが店主を務めていらっしゃいます。

 

『ミニ山笠』製作は、博多人形商工業組合の青年部が企画した物で、今回の製作は今年が初めての試み。青年部会長の田中勇さんを始め、8名の若手博多人形師の方が製作に当たっています。

ゆらりんさんのテーブルには、山大工の稲舛さんが製作したミニ山笠に使われる実物の飾り山の1/8サイズの素山が用意されていました。山笠台もしっかりと棒締めが行われているミニチュアとは思えない手の込みようです。

 

1/8サイズという事は、使用する飾りも全て1/8サイズ。しかも全て博多人形師の方々が、本物の飾り山の飾りと同じ素材(土・粘土・発泡スチロール・厚紙等)で飾りを作っていますので、このミニ山笠は本物の飾り山の精巧なミニチュアとなります。

     

表の標題は2011年櫛田神社の飾り山『智将疾風関ケ原』、見送りの標題はこのミニ山笠のために用意した『竜の子太郎』。表を田中さんが、見送りを溝口堂央さんが担当し、4人ずつの2チームで、表と見送りの飾り付けを行います。
今回のミニ山笠の製作は田中さんと溝口さんが元絵を描き、その絵からチーム内で各パーツの製作を割り振って各人で製作。出来上がった各パーツを、この日に持ち寄って素山に飾り付けていく・・・という手法が取られています。

 

しかし、今回のミニ山笠の製作は初めての試みだけあって、スムーズに飾り付けが進みません。人形の大きさや取り付け角度の微妙な違い、部品の形の違い、部品が足らないなど、実際に飾り付けを始めてから分かる事が、序盤から続出。
その度に、取り付けた飾りを外してみたり、角度を変えたり、現場で細かい飾りを付け足したりと、 臨機応変に対応し作業が続けられます。

  

 飾り付け開始から10時間後、ミニ山笠はかなり完成に近い姿を現しました。

 

「いつも山笠人形のパーツ作りをしているけど、実際に自分の手で山笠を作ったらその面白さが分かる。技術の向上や、こうやってみんなでパーツを持ち寄る事でいろいろ新発見や再発見もありますし。」と田中勇さん。
飾り付け具合を遠目から確認しながら「ミニ山笠作り、面白いなあ」と話す田中さんに「来年もミニ山笠作るんですか?」と聞いたところ、笑顔で「どうだろう。結構大変だしなぁ」。
しかし、その言葉とは裏腹に、その笑顔には初めての試みでありながら、ミニ山笠の出来具合と面白さに手応えを感じているようでした。

このミニ山笠は、6月27日(水)6月28日(木)(※この日は休館日のため28日からになりました)より「はかた伝統工芸館」にて行われる「博多祇園山笠展」にて一般公開される予定です。ぜひはかた伝統工芸館に足を運んで頂きまして、この精密なミニ山笠をぜひご覧ください。