博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

ゆかた山(ゆかたやま)

明治8年に登場した、特殊な舁き山。

明治5年(1872年)、明治政府は封建制を打破する目的で博多祇園山笠」と博多松囃子に禁止を出した。その間、博多人は禁止令撤廃を申し出ていたのだが受け入れられることがなかった。
明治8年(1875年)に突然許可が下りたのだが、許可が下りたのは6月13日の夕方。15日早朝の追い山までに舁き山を準備する時間がないため、各流の当番町が窮地の策として建設したのが、一体の人形に浴衣を着せ、生き松を添えただけの簡素な山である。これが「ゆかた山」と呼ばれる舁き山である。
博多人は14日に飾り付け、15日に一回だけ舁いて久しぶりの山笠の空気を味わった。
だが、この翌年からは再度禁止となり、本格的な山笠復興までには11年の歳月を要する事になる。

この1度限りの登場だった「ゆかた山」だが、昭和36年(1961年)に80数年ぶりに櫛田神社にて披露された。